Marketing Science Notes

日々勉強したこと。博士課程奮闘中

iOSアプリ-パニックログをリリースしました!

ここ最近アプリ開発の取り組んでおり、この度初めてiOSアプリをリリースできました!

どういうアプリ?

アプリ名は「パニックログ」というものでして、パニック発作や不安感をリアルタイムで記録しながら、統計分析で自分の成長を可視化するアプリです。

不安発作を記録しよう - パニックログ

不安発作を記録しよう - パニックログ

  • Koya Ohashi
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料
apps.apple.com

私自身、大学院生の頃に不安障害を発症して以来、10年近くにわたりパニック発作や予期不安に悩まされてきました。これまで何度発作に苦しんできたかは数えきれませんが、ある日ふと、こんなことを思ったのです。

少なく見積もっても、これまでに100回以上は発作を経験してきたけれど、気絶したり、救急搬送されたり、周囲の人に見捨てられたりといった“最悪の事態”に一度たりとも陥ったことはない。 統計的に考えれば、発作が起きても実際には恐れる必要はないのでは?

いかにも統計学専攻らしい発想かもしれませんが、この気づきが私を救ってくれました。そして、そのとき「自分の成長を正しく実感し、小さな自信を積み重ねることができる。そんなアプリがあったらいいな」と思い至ったのです。

世の中には、自分のメンタルの状態を記録できるアプリはたくさんあります。しかし、不安障害に特化し、かつ発作の“開始”と“終了”をリアルタイムで記録できるアプリは見当たりませんでした。 「自分自身が最大のユーザーになる」ことを前提に、このアプリの開発をスタートしました。

どのように開発?

私はエンジニアリングの経験はほとんどありません。今回の開発は、以下の記事を参考に生成AIをフル活用しながら進めました。

note.com

合計で1万円弱の課金を重ねた末に、なんとか“それっぽく動くもの”が形になりました。Swiftなんて触ったこともなかった自分が、たった2週間ほどでアプリをリリースできるなんて、本当に驚きです。

アプリ開発の過程では、ついでに生成AIについても学ぶことができて、一石二鳥の経験となりました。

今後の展望

まだまだ追加したい機能は山ほどあります。特に統計分析のパートは、私自身のエンジニアリング力の限界から泣く泣く断念した部分も多く、今後のアップデートで改善していくのがとても楽しみです。

そして、よりクリティカルな論点が「マネタイズ」です。

……実は、これまでマネタイズのことはまったく考えず、勢いだけで開発を進めてきました笑。

今後については、フリーミアム型にして高度な統計分析機能を有料化するのか、邪魔にならない範囲で広告を入れるのか、あるいは不安症に悩む人たちのコミュニティ運営に力を入れるのか――いくつかの選択肢が頭に浮かんでいます。

いずれにしても、自分自身が「もっと使いたくなるアプリ」を目指して、これからもじっくり育てていきたいと思っています。

論文メモ:MMMのための人工データ生成過程 part 2

前回の続きです。

mks-nandemo.hatenablog.com

前回までで、セグメント間の遷移行列を以て各アクションを定義することを説明しました(参考)。ここからは各アクションを具体的に定義していきます。

k=1: 自然なMigration

マーケティングアクションなどの特殊な体験がなくても、ユーザーは市場に参加したり退場したりします。たとえば、夏になれば旅行に行きたくなるし、春になれば新学期グッズが売れるように、季節性やトレンドにより自然と市場環境は変化します。

最初のアクション k=1として、ユーザーのマーケット参加率(Category Market  s_1)における変化を定式化します。これを自然なMigrationと論文では呼んでいます。

時点 tにおけるマーケット参加率は、

 
r_{t,k} = \frac{n_{t,k,A}}{n_{t,k,S}} \quad {\rm where} \ A = \{\boldsymbol{s} \in S \mid s_1 = {\rm "in-market"} \}

で定義できます。ただし、時刻t、アクション k、セグメントグループ Aにおけるユーザー数を n_{t,k,A}としました。小難しく書いてありますが、要はin-marketなユーザーの割合のことです。

各時点でのマーケット参加率は、分析者がインプットするものです。 ベースラインとして、ユーザーのマーケット参加率の推移を規定してあげる必要があります。簡単のため、マーケット参加率をSeasonality項とTrend項に分けて


\rho_t = \rho^{(seasonality)}_t \times \rho^{(trend)}_t \quad {\rm for} \ t = 1,2,\ldots,T

とします。季節性やトレンド項を、例えばARモデル等で定義してインプットするのは分析者側の仕事です。

さて、想定マーケット参加率 \rho_tが規定されても、実際の参加率 r_{t,k}とは異なっているでしょう。自然なMigrationでは、 r_{t,1} \rho_tに近づく方向へセグメント移動が発生すると仮定します。

想定よりマーケット参加率が小さい場合

つまり、 r_{t,1} \lt \rho_tの場合は、想定マーケット率へ落ち着くために S \setminus A \rightarrow A方向へユーザー遷移が発生します。

このとき、セグメント \boldsymbol{s} \in Sにおいて、セグメント遷移する可能性のあるユーザー(affected users)は


a_{t,1,\boldsymbol{s}} = n_{t,1,\boldsymbol{s}} \mathbb{1}(\boldsymbol{s} \in S \setminus A)

となります。ここで、 \mathbb{1}()は指示関数です。要するに、今現在out-of-marketであるユーザーが、in-marketに遷移する可能性があるということです。

この自然なMigrationにおいて、マーケット参加状況 s_1 \in \{{\rm in market}, {\rm out of market}\}とActivity State  s_3 \in \{{\rm inactive},{\rm exploratory},{\rm purchase} \}以外は変化しないものとします。

Activity Stateが変化する状況とはどのような場合でしょうか?それは、unsatiatedなユーザーがin-marketになった場合に、一定の割合でactiveに変化する場合です。逆に言えば、satiatedなユーザーがin-marketになろうとも、彼らは必ずinactiveになります。

以上から、セグメント \boldsymbol{s}の遷移先は


h_{s_3} (\boldsymbol{s}) = 
\begin{cases}
({\rm in market}, s_2, s_3, \cdots, s_6)^\top & s_2 = {\rm unsatiated}\\
({\rm in market}, s_2, {\rm inactive}, \cdots, s_6)^\top & {\rm otherwise}
\end{cases}

となります。

unsatiatedユーザーがin-marketになった場合のActivity Stateは、以下の割合で分配されるとします。これも分析者が与えるパラメータです。


\gamma = (\gamma_1, \gamma_2, \gamma_3)^\top \quad s.t. \ \sum \gamma_j = 1

以上から、 \boldsymbol{s} \in S \setminus A \rightarrow \boldsymbol{s'} \in Sへの遷移確率は


q^{(t,1)}_{\boldsymbol{s}, \boldsymbol{s'}} = \left(\frac{1 - \rho_t}{1 - r_{t,1}}\right)\mathbb{1}(\boldsymbol{s'} = \boldsymbol{s}) + \sum_{j \in s_3}\gamma_j \left(\frac{\rho_t - r_{t,1}}{1 - r_{t,1}}\right)\mathbb{1}(\boldsymbol{s'} = h_j(\boldsymbol{s}))

となります。ちょっと分かりづらいので解説すると、第一項目は遷移しない確率です。第二項目は遷移する場合に、どのActivity Stateへ遷移するかを表しています。私の理解用の図ですが、以下のようなイメージです。

これで遷移確率が定義できたので、この確率に従ってセグメント間の遷移を発生させることになります。具体的には、セグメント \boldsymbol{s}からの遷移先4つに対する多項分布でユーザーの移動数をシミュレートしていきます。

想定よりマーケット参加率が大きい場合

つまり、 r_{t,1} \gt \rho_tの場合は、想定マーケット率へ落ち着くために A \rightarrow S \setminus A方向へユーザー遷移が発生します。

この場合は、先のケースよりも簡単です。なぜなら、Activity Stateに場合分けが発生しないため、遷移先が


h(\boldsymbol{s}) = ({\rm out of market}, s_2, {\rm inacive}, s_4, s_5, s_6)^\top

の1つしかないためです。このとき、 \boldsymbol{s} \in A \rightarrow \boldsymbol{s'} \in S \setminus Aへの遷移確率は


q^{(t,1)}_{\boldsymbol{s}, \boldsymbol{s'}} = \frac{\rho_t}{r_{t,1}}\mathbb{1}(\boldsymbol{s'} = \boldsymbol{s}) + \frac{r_{t,1} - \rho_t}{r_{t,1}}\mathbb{1}(\boldsymbol{s'} = h(\boldsymbol{s}))

となります。こちらも同じく多項分布*1に従って遷移をシミュレートします。

k=2: De-Satiation

次のアクションは、需要の発生です。ユーザーがSatiatedな状態とは、ユーザーの需要が満たされており、新たな需要(購買)が発生しない状態を指します。たとえば、直近すでに購買したユーザーの需要は一時的に満たされている(Satiated)ため、すぐにまたもう1個買う確率は極めて低いわけです。

時刻 tにおいて、再び需要が発生する確率を \lambdaとします。大型家電など、数年に1度しか買われないような商品では、この \lambdaの値が非常に小さくなりますし、日用消耗品であれば大きくなります。これも分析者が与えるパラメータです。

「自然なMigration」と同様に、需要が発生したタイミングでActivity Stateも変化します。Unsatiatedユーザーの集合を Bとすると、Satiatedユーザー \boldsymbol{s} \in S \setminus Bの遷移先は


h_{s_3} (\boldsymbol{s}) = 
\begin{cases}
({\rm in market}, {\rm unsatiated}, s_3, \cdots, s_6)^\top & s_1 = {\rm in market}\\
({\rm out of market}, {\rm unsatiated}, {\rm inactive}, \cdots, s_6)^\top & {\rm otherwise}
\end{cases}

となります。翻訳すると、マーケットに参加中のユーザーにおいて需要が発生した時にActivity Stateも変化し得るということです。

以上から、 \boldsymbol{s} \in S \setminus B \rightarrow \boldsymbol{s'} \in Sの遷移確率は


q^{(t,2)}_{\boldsymbol{s}, \boldsymbol{s'}} = (1 - \lambda)\mathbb{1}(\boldsymbol{s'} = \boldsymbol{s}) + \sum_{j \in s_3}\gamma_j \lambda \mathbb{1}(\boldsymbol{s'} = h_j(\boldsymbol{s}))

です。Activity Stateの分布 \gammaは、 k=1のときと同じものを使っています。以上の確率から多項分布に従って、遷移するユーザー数をシミュレートします。

おわりに

以上で、自然なMigrationと需要の発生のアクション定義をしました。

が、想像以上に大変なのでぼちぼちやっていきます。。。

*1:厳密には、移動するかしないかの二値なので二項分布

論文メモ:MMMのための人工データ生成過程 part 1

こちらの論文を読んでいきます。

Zhang, Stephanie, and Jon Vaver. Introduction to the Aggregate Marketing System Simulator. Technical report, Google Inc, 2017.

research.google

結構長いので、いくつかに分割して整理していきます。

集計データの生成過程

データプライバシー規制の強化により個票データの利用が制限される中、集計データを用いたMMMの重要性が増しています。MMMを使えば収獲逓減やAdStockといった複雑な現象もモデルに組み込むことができますが、当然その性能には限界があるはずです。今あなたが考えているMMMモデルはどんな時に推論を間違えてしまうのか?、というモデルの限界点を探ることは重要です。

モデルの限界点を知るには、我々が正解(真の分布)を知っているデータ、つまり人工データが必要です。正解と推論の距離を測ることで、モデルの性能の限界を知ることができます。

本論文は、そんなMMMが活用される集計データに対して、人工データの生成過程を提案したものになります。この生成過程(シミュレーション)を用いることで、さまざまな市場ケースに対してMMMモデルの性能シミュレーションを実施することができます。

生成過程の全体像

データ生成過程は10近くのステップで構成されており複雑です。したがって、ここで全体像を示し見通しを良くします。

まず、市場全体のユーザーを購買意思やロイヤリティなどの要素で分割します。後述しますが、論文では6つの要素でユーザーを分割し、ユーザーのsegmentを \boldsymbol{s} = (s_1, s_2, \ldots, s_6) \in \mathbb{R}^6と表します。この \boldsymbol{s}の集合が市場全体ユーザー Sとなります。

生成過程の骨格は、このユーザーのセグメントが時事刻々と遷移し続ける、というものです。つまり、時刻 tにアクション kが発生した場合に、セグメント間でユーザー移動が発生するというものです。たとえば、TV広告を打ったあとは、ロイヤリティの高いセグメントのボリュームが大きくなるようなイメージです。

あとは、アクション kごとのセグメント移動の様子をモデリングすれば良さそうです。セグメント間の移動は、遷移行列 Qにより指定します。

  
Q^{(t,k)} = \left( q^{(t,k)}_{\boldsymbol{s}, \boldsymbol{s'}} \right)_{S \times S} = 
\begin{pmatrix}
\ddots & \cdots & \cdots \\
\vdots & q^{(t,k)}_{\boldsymbol{s},\boldsymbol{s'}} & \vdots \\
\cdots & \cdots & \ddots
\end{pmatrix}

今後もできるだけ明言しますが、このシミュレーションを理解するには何がインプットか?を意識した方が良いです。パラメータがたくさん出てくるので、結局シミュレーションするには何を指定しないといけないんだ?と迷子になってしまいます。例えば、今紹介した遷移行列 Qは基本的にアクション kごとに分析者が定義しなければいけません。TV広告を打つことでセグメント \boldsymbol{s}から \boldsymbol{s'}への遷移確率はどれくらいか?を自ら定義しなければならないのです*1

以上が生成過程の全体像です。以下、各アクションごとのセグメント遷移を導入していきます。

アクションごとの遷移行列

セグメントの定義

セグメントは以下の6つの要素により決定されます。

これらの要素が、各アクションから影響を受けて変化していくわけです。それぞれ

  • Category Market
    • そもそもユーザーが「市場にいる」か否か(in-market, out-of-market)
    • 例えば、旅行カテゴリにおいて、夏/冬休み以外は大半の人にとって旅行市場には「いない」ため、検討の対象にはならない
  • Category Satiation
    • 需要が満たされた状態であるか否か(satiated, unsatiated)
    • 購買などにより需要が満たされてしまえば、ユーザーは購買を検討しない
  • Category Activity
    • ユーザーのアクティブステータス(inactive, exploratory, purchase)
  • Brand Favorability
    • 自社ブランドへの好意度(unaware, unfavorable, neutral, somewhat favorable, favorable)
    • 好意度が高いセグメントの方が、自社ブランドの購買確率は高くなる
    • あくまでも好意度であってロイヤルティではない点に注意。他社ブランドへの好意度も同時に高くなることはあり得る
  • Brand Loyalty
    • 自社ブランドへのロイヤルティ(switcher, loyal, competitor-loyal)
    • Favorabilityと異なり、ロイヤルティは自社・他社のどちらか一方のみに対して持つ
    • どちらのブランドもロイヤルではないユーザーはSwitcherと呼ばれ、ブランドロイヤルティではなく購買時の価格やスペックといった要素で購買を決定する
  • Brand Availability
    • physical, mental availability (low, average, high)
    • バイロン・シャープが提唱する、physical/mental availabilityについて

以上6つの要素があるわけですが、全ての組み合わせを考える必要はありません*2

まず前半3つの要素に関して言えば、下表の6通りの組み合わせのみで十分です。

out-of-marketのユーザーは全員inactiveですし、in-marketかつunsatiatedなユーザーしかexploratory, purchaseステータスになり得ません。

後半3つの要素については、下表の33通りの組み合わせで十分です。

自社ブランドへloyalのユーザーの好意度はfavorable以外あり得ないわけですね。

以上から、ユーザーのセグメントは 6 \times 33 = 198個に分割されます。

アクション定義

各時刻におけるアクションは、以下のように整理されています。もちろん、自社の状況に合わせて新たなアクションを定義することもできます。

  1. k=1: 自然なMigration
    • 季節性や市場トレンドから自然に発生するMigration
    • 特段マーケティング施策等を打たなくても、自然と一定数はin-marketになるし、一定数はout-of-marketになる
  2. k=2: De-Satiation
    • 需要が満たされているユーザーも、時間が経てば再び需要が発生する
  3. k=3~6: Lagged Effects
    • activity, brand favorability, loyalty, availabilityの変化
    • 例えば、TV広告によりbrand favorabilityが上昇したとする。favorabilityが向上すれば、全体的な購買量も増える。しかし、その効果は永久なものではなく、しばらくするとfavorabilityは元に戻り徐々に平衡点へ回帰するはず。このactivity ~ availabilityという4つの要素が、平衡点へ戻るスピードでLagged Effectsを表現する。
  4. k=7~: Marketing Intervention
    • マーケティング施策による介入
    • 論文では、TVCMやRadio系のマス施策と、Paid Searchによるセグメント遷移を定義している。
  5. k=K: Sales
    • 様々なセグメント間遷移が発生した最後に、その時点でのスナップショットをベースとして購買が発生する。
    • 購買後のユーザーは一時的にSatiatedステータスへ移行する

以上が時刻 tのうちに起きる(例えば1週間)として、その後 t+1,  t+2と同様にシミュレーションが進んでいきます。

ROASの算出

各アクションの定義は、次回以降の記事で詳述していきますが、シミュレーションシステムが出来上がった末に何が嬉しいのか?を簡単に見ておきましょう。

冒頭でも述べた通り、人工データによりMMMの性能を測定することができます。例えば、論文から図を引っ張ってくると

これは、TVCMとPaid SearchにおけるROAS, mROASの真の値(ドット線)と推定値(ヒストグラム)をプロットしたものです。この図から、TVCMのROASを過小評価しやすいモデルであることが分かり、モデルの改善に役立てることができます。

真のROASは、当該アクションをシミュレーションから除いたものと除いていないものを比較することで算出することができます。実務では、そのような反実仮想データは入手できませんが、生成過程を把握している人工データであればそれが可能になるわけです。

かなりボリューミーな論文なので、少しずつUpdateしていきます。。。

*1:自分のシミュレートしたい状況に合わせて、パラメータを様々変えながら実験する

*2:全組み合わせにすると、セグメントも細かくなりすぎる

論文メモ:Challenges And Opportunities In Media Mix Modeling

今回はこちらの論文を読みながら、学びをメモしていきます。

Chan, David, and Michael Perry. "Challenges and opportunities in media mix modeling." Google Inc 16 (2017).

research.google

  • Abstract
  • Introduction
  • Causal Inference
    • Randomized experiments
    • Potential outcomes
  • Regression
    • MMM Data
    • A general regression model
  • Challenges
    • Data limitations
      • Limited amount of data
      • Correlated input variables
      • Limited range of data
    • Selection bias
      • Ad targeting
      • Seasonality
      • Funnel effects
    • Model selection and uncertainty
      • Model selection
      • Model uncertainty
  • Opportunities
    • Bayesian modeling
    • Category models
    • Geo models
    • Control variables
    • Graphical models
    • Model validation
  • Final remarks
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AIエージェントでアウトリーチ広告の価値はどう変わる?

昨今のAIエージェントの進化を見ていると、自分の主戦場であるアウトリーチ広告の価値が無くなるのでは?と不安に思う今日この頃です。

私はMMMなどのマーケティング・サイエンス手法を用いて、主にアウトリーチマーケティングの効果検証支援および改善案の提案をするインテリジェンス部隊として働いています。したがって、本記事でも認知度向上やブランド力強化を目的に打たれるアウトリーチ広告をメインに書いていきます。しかし、プロダクト・マーケティング*1にも通じる部分はあるかなと思います。

私はAIエージェントの専門家でもなく、また他の方が書かれているであろう記事も特に読んでいないので、完全に今時点私が感じていることです。

誰も検索をしなくなる?

現在、リスティング広告はユーザーが検索エンジンを通じて情報を探すことを前提としたモデルですが、AIエージェントの普及により、このプロセスが変わる可能性があります。なぜなら、誰も「検索」をしなくなるからですね。たとえば、

  • ユーザーが直接検索するのではなく、AIエージェントに「最適な製品を教えて」と尋ねる
  • AIエージェントが過去の購買履歴や嗜好に基づいて最適な選択肢を提示する
  • 検索結果ページを経由せずに、AIがECサイトや公式ページに直接誘導する

というジャーニーが普通になるかもしれません。私はDeep Researchを使ってて、今後もうGoogle検索しなくて良くね?と思いました。。。

このような変化が進むことで、従来の検索広告の価値は低下するでしょう。しかも結構ニッチな記事も拾ってきてくれるんですよね。

今まではリスティング広告により検索結果の上位へ表示することで流入を獲得していましたが、これって人間が上位の検索をクリックしやすいという、人間の認知能力の限界とバイアスを利用していると理解しています。これがAIエージェントにより、ニッチな情報源まで含め包括的に”検索”をするようになるため、リスティング広告って相対的に無価値になっていくんじゃないでしょうか。

プラットフォームビジネスの価値はなくなる?

私はプラットフォーム系のサービスも淘汰されるんじゃないかと思っています。Amazonやメルカリであったり、情報のキュレーションサービスもそうですね。

彼らの価値は何かと言うと、私は情報の集積だと思っています。例えば買い物するときには、とりあえずAmazonで検索したら世界中のアイテムにアクセスできますよね。お店側も、Amazonに出店すればリーチが取れるので出店するわけです。

AIエージェントが普及したらどうでしょうか? Amazonに出店していなくたって、AIエージェントに引っ掛かればユーザーにSuggestされます。ユーザーもわざわざAmazonに出向いて検索なんかしなくなります。

Amazon・メルカリやニュースサイトは、アイテムやニュースに特化して情報を集積し、ユーザーを呼びこんでいたわけです。しかし、AIエージェントはWeb上の全情報を参照して、ユーザーにSuggestします。例えるなら、アイテムに限らず全情報を扱えるAmazonみたいな感じでしょうか。

もちろん、Amazonやメルカリで言えば、匿名配送などの機能は便利ですよね。いくらAIエージェントがSuggestしたからと言って、個人HPで出品されているアイテムを直接購入するのは、なんか信用できないし勇気が必要です。したがって、わざわざAmazonやメルカリに行き検索をする価値は低くなるが、匿名配送や補償などのモジュールのニーズは生き残ると思います。それだけ生き残ってもAmazonはやっていけないと思いますが。。

今までAmazon楽天に出店していたショップが、AIフレンドリーな自社データベースをWeb上に公開すれば、あとは勝手にAIエージェントがユーザーとマッチングしてくれるようになる。そんな気がしています。

誰もブランドで選ばなくなる?

TVCMを含むマス広告は、ブランド認知の向上に寄与する重要な手法ですが、AIエージェントが購買の意思決定に深く関与することで、影響力が大きく変化すると思います。特に、AIエージェントがどういう基準で情報の信頼性を判定するか?がキモですね。

仮に、知名度やブランド価値が全く重視されないのであれば、TVCMでユーザーのプレファレンスを獲得する価値は減りますよね。だってAIエージェントでSuggestされた商品を思考停止で受け入れる可能性が高いので。AIエージェントに「あなたに最適なサービスはこれ」って言われても「いいや!私はそれでもこのブランドから買う!!!」って行動になる人は極々少数でしょう。

一方でもし、AIによる推薦の際にブランド価値が重視されるのであれば、よりAIエージェントが認識しやすいブランド戦略の構築が求められるでしょう。AIエージェント様に「うちの情報Suggestしてください!」とお願いするように、広告の対象が消費者ではなくAIエージェントになるかも?

特に、AIが製品を推薦する際に「ブランドの信頼性」が判断材料の一つになることを考えると、ブランドのプレゼンスを高める施策は引き続き重要となるでしょう*2

AIエージェント時代のマーケティング戦略

AIエージェントがユーザーの購買行動に与える影響を考えると、マーケティングの手法も変化するでしょう。たとえば、

  • AIエージェント向けの最適化(AI SEO:AIが商品やサービスを認識しやすくするためのコンテンツ戦略
  • AIとのパートナーシップ:自社の商品がAIの推薦アルゴリズムに適した形で提供されるような施策

特に、ECやサービスプラットフォームにおいては、AIエージェントがどのような基準で商品を推薦するのかを理解し、それに最適化する戦略が今後のマーケティングにおいて重要な要素となるでしょう。

*1:クーポン配布によるリテンションなど、プロダクト内部でのCRM

*2:というか、そうであってほしい

読書録:因果推論 - 構造方程式モデル -

金本さんのこちらの本

を読んでいます。

今回は第3章で紹介されていた構造方程式モデル(Structural Equation Modeling: SEM)について勉強しました。

  • 構造方程式モデル
  • 成分プラス残差プロット
  • 数値実験
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経営学におけるエビデンスの活用と課題

神戸大学の服部先生と大阪公立大学の新井先生が書かれた招待論文、「経営学はどのようにエビデンスを扱ってきたのか?」を読みました。

www.jstage.jst.go.jp

私はマーケティングサイエンスという側面から、Evidence-basedな経営学に取り組んでいます。本論文では、そもそも経営学にscientificな観点が導入された背景や、エビデンスが重要視されてきた昨今の流れなどを概説しています。

  • 経営におけるデータの活用
  • 証言ゲーム:誰が言ったか?
  • 命題ゲーム:何を言ってるのか?
  • 行き過ぎたエビデンス主義のリスク
  • マーケティング・サイエンスにおける現場との乖離
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